イートン(ピロック)の宿に荷物を置き、
タイ・ミャンマー国境を目指して早速歩き始めました。
時刻は、16:39。
イートン集落の入口です。
こんな木製のゲートが建ってるんですよ。
ここイートンは、スズ鉱山としてかつて賑わった集落です。
ビルマを1886年に完全に併合したイギリスは、
武器製造用にスズを現地調達していました。
そんなスズ需要の拡大を受けてビルマ人がスズ鉱を求めて
山深く入って行くようになります。
1938年、けもの道を伝って現在のイートンの地に辿り着いた
タイ側の猟師が、国境を越境して鉱物を掘削しているビルマ人を目撃。
山を下りて当局に通告します。
当局はそこで部隊を編成しビルマ人を追い出し調査したところ、
この地には、スズとタングステン鉱の豊富な埋蔵量があることが判明。
1939年から農業省金属局管理の下で鉱山運営が正式に開始されました。
当時トーンパープームから徒歩で3日もかかった山奥の地にも関わらず、
最盛期には50前後の鉱山と数千人の住人で活気があったようです。
映画館までありました。
しかしスズ生産国で組織されたスズ生産国同盟による価格管理が破綻し、
世界市場のスズ価格が暴落した1985年の「スズ危機」をきっかけに、
この地のスズ鉱も相次いで閉山。ついに全て廃鉱になってしまいました。
鉱夫も去り、百軒前後の静かな今の集落の姿となったのです。
イートン入口ゲート左の看板には、
上段はミャンマー文字に似せたタイ文字で、
下段はミャンマー文字で地名が書かれています。
⇑ダウェー市 114マイル
⇑ガムボック郡 52マイル
⇑ミャンマー連邦 2km
では矢印のとおり、この坂を登って行きますか!
登って行くと右手にはヘリポートを兼ねたキャンプ場があり、
その左手に
ワット・ムアンレー・ピロック(วัดเหมืองแร่ปิล็อก)が。
訳すと、ピロック鉱山寺ですね。
さらに進むと、あれ?
ゲートがあるぞ。
国境管理警察の「ヒンゴーン検問」でした。
現れた青年警官にこの先まで行っていいか尋ねると、
「行っていいです。でも6時までに下りてきてください」
と。
了解です!
先で道が右へ折れているんですが、左手が開けてますね。
何かありそうだなと思いつつ到着すると、
なんだここは?
逆光で見えづらいので右手の丘に少し登って撮影すると、
「タイ-ミャンマー永久友好協力地点」
とタイ語・ミャンマー語で書かれた碑と警備の詰所があります。
反対側の丘は竹柵で仕切られた上に家屋も見えますね。
ってことはこの碑と竹柵の向こうがミャンマーってことかな。
詰所を良く見たら中にはちゃんと見張り番の人がいました。
この詰所はタイとミャンマーのどっち側なんだろう?
で、ここは何なのかですが、
注意
高圧ガス管
と書かれています。
実は地面の下1.5mにはミャンマーのアンダマン海にある
ヤダナ・ガス田からの天然ガスパイプラインが通っているんです。
ここでタイ・ミャンマー国境を越えて、
ラーチャブリー県のピクントーン発電所まで繋がっています。
どうやら2013年頃に完成したらしいこのプロジェクトには、
三菱商事も関わっているようですよ。
右手の丘を階段で上ると頂上には、
タイ国旗とミャンマー国旗がはためいているのでありました。
ここはヌーン・サオトン(เนินเสาธง)。
訳すと文字通りの「旗柱の丘」。
グーグルマップを見ると、国境線は両国の国旗の間ではなく、
このすぐ左手を通っているようです。
で、そのミャンマー側の風景を眺めると、
地平線の彼方まで山、山、山!
怖いぐらいです。
あっちもよくこんなところまで道を敷いたもんですね~。
目をちょっと下にやると、緑一面の中に
天然ガスパイプライン関係と思われる道路と施設だけが
視認できました。
丘を下りてさらに先まで歩いてみます。
どこまで行けるかな。
するとたった3分で、
行き止まりです。
タイ国旗が掲げられた施設と土嚢の間には、
おお、国境ゲートか!
詰所には、
友好ルート検問(จุดเฝ้าตรวจ ช่องทางมิตรภาพ)と。
切り通しの向こうはミャンマーです。
越えてみたい衝動に駆られますが、この国境検問は
地元の人でも通れないんだそうです。
たぶん天然ガスパイプライン関係者のみが通行できる
作業用の国境なんでしょう。
時刻は、17:07。
実はもう1か所、国境の眺望ポイントがあるんですよ。
日暮れまでに間に合うかな。急いで戻るぞ。
<旅費交通費>
歩いただけなので:0バーツ
ここまでの合計:939バーツ
<参考>
ศูนย์การเรียนรู้อุตสาหกรรมเหมืองแร่ "ปิล็อก"
ปตท."โครงการท่อส่งก๊าซธรรมชาติจากแหล่งพม่า ไปยัง สถานีควบคุมความดันก๊าซฯ"(PDF)
『中長期的に見た錫の需給動向-2(需要編) 』独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
『三菱商事、ミャンマーのガス田プロジェクトに資本参画』財経新聞,2013年12月23日付
※旅は2017年3月27日(月)に行いました。
元記事(楽天ブログ タイとタイ語に魅せられて)
つづく
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『タイ語上級講座 読解と作文』めこん</
タイ・ミャンマー国境を目指して早速歩き始めました。
時刻は、16:39。
イートン集落の入口です。
こんな木製のゲートが建ってるんですよ。
ここイートンは、スズ鉱山としてかつて賑わった集落です。
ビルマを1886年に完全に併合したイギリスは、
武器製造用にスズを現地調達していました。
そんなスズ需要の拡大を受けてビルマ人がスズ鉱を求めて
山深く入って行くようになります。
1938年、けもの道を伝って現在のイートンの地に辿り着いた
タイ側の猟師が、国境を越境して鉱物を掘削しているビルマ人を目撃。
山を下りて当局に通告します。
当局はそこで部隊を編成しビルマ人を追い出し調査したところ、
この地には、スズとタングステン鉱の豊富な埋蔵量があることが判明。
1939年から農業省金属局管理の下で鉱山運営が正式に開始されました。
当時トーンパープームから徒歩で3日もかかった山奥の地にも関わらず、
最盛期には50前後の鉱山と数千人の住人で活気があったようです。
映画館までありました。
しかしスズ生産国で組織されたスズ生産国同盟による価格管理が破綻し、
世界市場のスズ価格が暴落した1985年の「スズ危機」をきっかけに、
この地のスズ鉱も相次いで閉山。ついに全て廃鉱になってしまいました。
鉱夫も去り、百軒前後の静かな今の集落の姿となったのです。
イートン入口ゲート左の看板には、
上段はミャンマー文字に似せたタイ文字で、
下段はミャンマー文字で地名が書かれています。
⇑ダウェー市 114マイル
⇑ガムボック郡 52マイル
⇑ミャンマー連邦 2km
では矢印のとおり、この坂を登って行きますか!
登って行くと右手にはヘリポートを兼ねたキャンプ場があり、
その左手に
ワット・ムアンレー・ピロック(วัดเหมืองแร่ปิล็อก)が。
訳すと、ピロック鉱山寺ですね。
さらに進むと、あれ?
ゲートがあるぞ。
国境管理警察の「ヒンゴーン検問」でした。
現れた青年警官にこの先まで行っていいか尋ねると、
「行っていいです。でも6時までに下りてきてください」
と。
了解です!
先で道が右へ折れているんですが、左手が開けてますね。
何かありそうだなと思いつつ到着すると、
なんだここは?
逆光で見えづらいので右手の丘に少し登って撮影すると、
「タイ-ミャンマー永久友好協力地点」
とタイ語・ミャンマー語で書かれた碑と警備の詰所があります。
反対側の丘は竹柵で仕切られた上に家屋も見えますね。
ってことはこの碑と竹柵の向こうがミャンマーってことかな。
詰所を良く見たら中にはちゃんと見張り番の人がいました。
この詰所はタイとミャンマーのどっち側なんだろう?
で、ここは何なのかですが、
注意
高圧ガス管
と書かれています。
実は地面の下1.5mにはミャンマーのアンダマン海にある
ヤダナ・ガス田からの天然ガスパイプラインが通っているんです。
ここでタイ・ミャンマー国境を越えて、
ラーチャブリー県のピクントーン発電所まで繋がっています。
どうやら2013年頃に完成したらしいこのプロジェクトには、
三菱商事も関わっているようですよ。
右手の丘を階段で上ると頂上には、
タイ国旗とミャンマー国旗がはためいているのでありました。
ここはヌーン・サオトン(เนินเสาธง)。
訳すと文字通りの「旗柱の丘」。
グーグルマップを見ると、国境線は両国の国旗の間ではなく、
このすぐ左手を通っているようです。
で、そのミャンマー側の風景を眺めると、
地平線の彼方まで山、山、山!
怖いぐらいです。
あっちもよくこんなところまで道を敷いたもんですね~。
目をちょっと下にやると、緑一面の中に
天然ガスパイプライン関係と思われる道路と施設だけが
視認できました。
丘を下りてさらに先まで歩いてみます。
どこまで行けるかな。
するとたった3分で、
行き止まりです。
タイ国旗が掲げられた施設と土嚢の間には、
おお、国境ゲートか!
詰所には、
友好ルート検問(จุดเฝ้าตรวจ ช่องทางมิตรภาพ)と。
切り通しの向こうはミャンマーです。
越えてみたい衝動に駆られますが、この国境検問は
地元の人でも通れないんだそうです。
たぶん天然ガスパイプライン関係者のみが通行できる
作業用の国境なんでしょう。
時刻は、17:07。
実はもう1か所、国境の眺望ポイントがあるんですよ。
日暮れまでに間に合うかな。急いで戻るぞ。
<旅費交通費>
歩いただけなので:0バーツ
ここまでの合計:939バーツ
<参考>
ศูนย์การเรียนรู้อุตสาหกรรมเหมืองแร่ "ปิล็อก"
ปตท."โครงการท่อส่งก๊าซธรรมชาติจากแหล่งพม่า ไปยัง สถานีควบคุมความดันก๊าซฯ"(PDF)
『中長期的に見た錫の需給動向-2(需要編) 』独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
『三菱商事、ミャンマーのガス田プロジェクトに資本参画』財経新聞,2013年12月23日付
※旅は2017年3月27日(月)に行いました。
元記事(楽天ブログ タイとタイ語に魅せられて)
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◇ 入門 ◇
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◇ 中 級 ◇
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