さてさて、今回のシリーズは趣向を変えてみます。
バス旅ではなく、一つの通りを探訪してみようかと。


というワケで2013年1月14日(月)の9時前に向かったのは、
バンコク旧市街のタナーオ通り


どこかと言うと、王宮に向かうラチャダムヌーン・クラーン通りってありますよね?
あの通りの民主記念塔を過ぎて最初にある交差点の通りがタナーオ通りです。


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ここがその、コークウア交差点
王宮方面に向かって立っています。
右へ行けばカオサン通りなのですが、今回は左側だけ歩いてみることに!

ちなみにコークウアとは牛舎の意味。
昔この地には南アジア系ヒンズー教徒の牛舎が建っていたんだそうで。


では、左折してタナーオ通りに足を踏み入れてみましょう。
タクシーで通ったことはあるんですが、歩くのは初めてです!


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歴史を感じさせる長屋商店街が両側に並んでいます。
どうやらシルバーを扱う店が多い感じ。
でもまだ朝早くてどの店も開店前…。


さらに歩くと左側にはワット・マハンノッパーラームという寺院が。
ラマ3世期(1824~1851年)創建とか。

その向かいに可愛らしいネーミングの店が。


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パオパオサラパオ
強引に訳せば、まんまん中華まん、かな?(笑)

その名のとおり、自家製中華まん屋さん。結構評判の店のようです。

豚挽肉のオーソドックスなものからクリーム、タロイモ、黒胡麻など
色んな味のものもあるようで興味はそそられるんですが、
まずは座って食べたいので残念ながらパス。

さらに歩いて行くと、急に賑やかに。
何やらお供えグッズを売る店が並び始めました。
この先に中国廟がある雰囲気です。


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黄色い看板には「参拝の仕方教えます」と。
ただ入ってお参りするだけじゃダメなんですね…。
あ、中国廟だ。全体が入るようにタナーオ通りの反対側から撮影すると、


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こんな感じ。

この時はまったく前提知識が無かったんですが、帰ってから調べるとここは、
「サーンジャオ・ポースア」と言うのだそうです。訳せば「虎廟」。

中国語では「玄天上帝廟」と言うのだそう。

ここもさきほどの寺院と同様にラマ3世期に建てられた潮州人廟なんだとか。
でも当初はもう少し南のバムルンムアン通り沿いにあったのが、
ラマ5世期に道路拡張でこの地に移転してきたんだそうで。

玄天上帝、ジャオポースア(虎)、関羽、媽祖(天上聖母)が祀られています。


どうせだから入ってみますか。


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当然ですが漢字が溢れてますな…。

内部でも大きなろうそくやら何やらを売っていますね。
左手は線香の煙が立ち込めてかなりケムいです。

奥にその、4つのご本尊があるんでしょうね。


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入ってみます。


「写真撮影禁止」

右に座っているおじいさんからそう注意されました。
この中はダメなんですね。す、すみません ^_^;)


なんで「虎」廟なのかですが、こんな言い伝えがあるのだそうです。


昔々、ワット・マハンノッパーラームの裏にまだ大きな森が広がっていた頃、
この森には虎が生息していました。そして周辺に住むのは貧しい人たちばかり。

その中にある母子がいました。

ある日、息子の男性は森へ食べ物を獲りに入って、大きな虎に遭遇、
虎に傷を負わせるものの、自らも片腕を食いちぎられます。
命からがら沼に逃げ込んで虎を巻き、なんとか家に辿り着きます。

でも症状が悪化しその後亡くなってしまいました。

悲しんだ母は郡役所に虎退治を願い出て、副郡長率いる虎退治隊が森に入り、
紆余曲折の末、虎を生け捕りに。

虎を郡役所に連行して裁判が行われ、虎に死刑判決が。
それを聞いた虎は刑に従いますと素直にひれ伏し身を預けたのです。

その様子を見ていた郡長・副郡長や母を含めたみなは涙を流し、
虎を許すことにしました。
ただし死んだ息子の代わりに母の子どもになることを命じられます。

虎は孝行を尽くします。
森に入って獲物を捕えては母に食べさせ、余った物は売ったので、
以前より暮らしが楽になりました。

そんな生活が7年続き、母は亡くなります。

火葬の最中、悲しんだ虎は火の周囲を何度も走り周り泣き叫びます。
そしてついには火中に飛び込んで死んでしまいました。


住民が虎の孝行を称えて廟を建てたのが、
サーンジャオポースアの始まりだと言われています。


虎は今でもカオヤイなど一部にごく少数生息していますし、
かつては全土の森にいたようです。
本当にこの辺りにも昔は虎がいたのかもしれません。

この廟は、子宝祈願で有名なんだとか。
あと、ここの護符を家や職場に貼ると厄除けのご利益絶大だそうですよ。


つづく

※旅は2013年1月14日(月)に行いました。


<参考>
『ジャオポースアの歴史』(タイ語)


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